2018年12月13日木曜日

パッドマン 5億人の女性を救った男 (Pad Man)

(クリックで拡大します)

試写会にて「パッドマン 5億人の女性を救った男」を拝見しました。

現代のインドにおいて生理用品の普及率は、この物語の始まりの時点ではナント12%(!)ととても低く、本作の主人公ラクシュミの妻も例外ではありませんでした。結婚したての愛する妻はギョっとしてしまうほど使い古した布でなんとかやり過ごしながら生理期間中を耐えているような状況でした。理由としては市販で売られている生理用品はあまりにも高価であったからです。

自身の家族を幼い時になくし、学校にも行かなかったラクシュミにとって、結婚をして初めて女性がこのような方法を選んでいることを知り、それにについてとても真っ当に「おかしい」と思ったのです。しかし、女性の身体のメカニズムである生理について少なくともラクシュミが住んでいる地域ではそれについて話題にすることも非常にタブー視されており、薬局でもまるで生理用品は闇市で売買している商品かよ!とツッコミをいれたくなるほどの扱いでした。

ラクシュミは、「知らない」という武器を非常に素直に使います。どう考えても、それが世の常だったとしても、僕はおかしいと思う!という疑問を行動力へと変えていきます。そして、ラクシュミはあることについても、とってもよく「知って」います。「知らない」と「知ってる」ことをただひたすら一途に追いかけ、運命が彼を待つ未来へと彼はいろんな縁をつなげていくのです。

ラクシュミ、すっばらしいのですが、彼はあまりに一途であまりにひたむきです。オイオイオ〜イ!気持ちはわかるがそれはアカンて!ということにも嬉々として取り組みます。シュンとする彼の表情を見てるととても心が痛むと同時に「ホレみたことか…」とも思ってしまいます。そんな彼のドタバタを救うのは知識、インターネット、そして女神!(女神役のソーナム・カプール、本当に美しい)

そして何よりもラクシュミが英語でスピーチをするシーンがあるのですが、これが本当に素晴らしかったです。言葉は、やはり学者や研究者でないかぎり、学んだ上で絶対に自分の方法でいいので「使う」ものです。そのことについて本当によくわかっているラクシュミ。彼の飾らない人柄と聡明さがとてもよく伝わってきました。

余談ですが、縁あって今年から英語を教える仕事を始めました。それを通してたくさんの頑張っている生徒たちに出会いました。そこから触発され、私自身も韓国語をなんとかわかるようになりたくて、勉強している身でもあります。こういった事からこのシーンには大きな勇気をもらいました。新しい言語をがんばって勉強している全ての人に見てもらいたいです。

ラクシュミには実在のモデルがいて、その方のTEDでのスピーチも実際に見ることができます!映画同様、とてもチャーミングな方でした。

2018年11月30日金曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」1月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」1月号(11/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第6回は「メアリーの総て」主演のエル・ファニングです。第3回のダコタちゃんに続き、妹の彼女が登場ですね。

エル・ファニング、今めちゃくちゃ勢いありますよね。記事内で井口さんも書かれていましたが、ある時のキルスティン・ダンストを彷彿とさせます。透き通るのかな?というほどに白い肌に、光があたると輝くホワイトブロンド。ブルーグリーンの宝石のような瞳。あまりにも可愛くて、その要素が危ないほどです…。つまり尖っている。彼女の表情は本当に多様で、あどけない少女っぽさ、見るものすべての心を奪うガーリーさ、そしてはっきりとした立ち位置を示すその強い女性らしさ、すべてがエル・ファニングらしさを作りあげます。あーん!どこまで魅力的なの!

ニコラス・ウィンディング・レフン監督の「ネオン・デーモン」に出ていた彼女の役に対する説得力ったらもう。だんだんと自分の輝きを自覚していく過程も素晴らしかったです。

「メアリーの総て」では、あの有名なフランケンシュタインを生み出したメアリー・シェリーを演じます。『あの』フランケンシュタインを生み出したのはたった18歳の少女でした。彼女の生い立ちから初恋に落ちるその瞬間、そしてその相手との関係、フランケンシュタインというキャラクターを作りだすその様子をじっくりと見ていくことができます。

とにかく美術や衣装がメチャキュート!ややゴシックテイストですごく上品。いろんな衣装を身にまとうエルがとにかく全部似合いすぎてそれを見ているだけでもとても楽しめます。特に寝巻きがかわいすぎです。部屋のインテリアや小道具もとても素敵で、オッシャレーで、身を乗り出してスクリーンを凝視してしまうほどでした。

また、主人公のメアリーに大きな影響を与える出来事として、彼女の母親がメアリーを出産する際に亡くなってしまっていることがあります。メアリーにとって、「死」は学ぶものでした。母親のお墓から最初に文字の読み方を学んだと話すエピソードから、よりそういう印象を感じました。メアリーの孤独と苦悩、そこから創造する瞬間をとても細やかに描いています。

メアリーと駆け落ちしていまうクズ旦那の感情の揺れ動きもとても面白いです。ところで彼を演じる ダグラス・ブース、高畑裕太さんに似ていると思ったのは私だけでしょうか?


2018年10月24日水曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」12月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」12月号(10/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第5回は「マイ・プレシャス・リスト」主演のベル・パウリーです。

世の中に対して文句だらけのハーバード卒のキャリー。飛び級で大学入学、卒業をしたとっても賢い彼女ですが非常にイライラしながらニューヨークで一人暮らしをしていました。唯一の話し相手は彼女の父親の友人であるというセラピスト。彼の提案で、「やってみたいこと」をリスト化しそれらを実行することに。リスト内にはチェリーソーダを飲むという簡単なものから、デートへ行くというものまで。ブツクサブツクサ言いながらも他にすることも無いであろうキャリーはそのリストに沿って行動してみた結果には…?という、この時代を生きる女子ならわりと「私もやったことある」と思うような設定なのではないでしょうか。

そんな中、やはり個性的なキャリーの振る舞いや言動が輝きます。とにかくデートに行かなくては、と言って彼女が手を伸ばすのはマッチングアプリではなくなんと新聞の広告。リストを実行した証拠として写真をとるのですがインスタにアップするかでなく、ポラロイドカメラ。その他にもバーでIDは?と聞かれ(彼女はまだ未成年)IQなら185なんですけど?そもそもアルコールは〜と、とうとうとまくしたてる様子は本当に…チャーミング!オバQのような唇と、眉間に皺を寄せて奮闘する彼女の姿は、本当に面白く、愛らしいです。

彼女が愛していたのは本です。彼女は言葉をとても大切にし、それゆえに言葉に傷つき、言葉に惑わされます。そして彼女を救うのも、言葉でした。非常に映画的なときめき演出に、私も思わずキャー!と声を出してしまいました。

秋が深まり、冬が訪れた頃のニューヨークの表情もとても素敵です。

2018年9月30日日曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」11月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」11月号(9/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第4回は「チューリップ・フィーバー」主演のアリシア・ヴィキャンデルです。

その姿を観ているだけで驚きを隠せないほどの美しさ。全パーツが神の判断により配置されているかのようです。そしてお顔が小さいの、折れてしまいそうなくらい華奢で、それがまた可憐なの。「リリーのすべて」や「コードネームUNCLE」の時とはまた違う、運命的な美しさに思わずため息が出てしまいそうでした。

彼女が演じたのは孤児院で育ち、生活のため裕福な商人と結婚をしたソフィア。ようやく手に入れた豊かな生活なのだけど、夫が雇った無名の画家とフォーリンラブ!その夫を我らがクリストフ・ヴァルツが、そして画家をデイン・デハーンが演じます。

「レオ様の再来」と言われているデイン・デハーン、ちょっともう本当になんと言っていいのかわからないほどの美青年ぷりを画面いっぱいに充満、アリシアとのツーショットなんてこっちがおかしくなりそうなくらいの…景色!

そして説明だけ聞くとクリストフ・ヴァルツがすっかりしょーもないお金だけもってるおっさんかのようにも感じますが、(そして実際なかなかキモイ)それだけではないとても複雑な感情の動きを見事に表現しており、さらに彼の演技が好きになりました。

そしてタイトルのチューリップなのですが、今では信じられないほどに高価だったチューリップが物語のキーとなります。とんでもない時代、とんでもない展開、とんでもない美男美女、そんな映画。

2018年9月6日木曜日

タリーと私の秘密の時間(Tully)

(クリックで大きくなります)



余談ですが、元・朝日ホールの新しいスクリーンは本当に雰囲気が素敵ですよね。椅子はやや背もたれが小さいのですが、劇場に入った瞬間にウフフ〜映画みるぞ〜ととても鑑賞欲をかきたてられます。映画が映し出されるスクリーンは、ステージの真ん中よりに配置されているので、席からはやや遠目です。普段から4〜5列目を好むわたしは、ここでのマイベスト席は2列目です。

ジェイソン・ライトマン監督、脚本はディアブロ・コディ、そして主演はシャリーズ・セロン。(今作はプロデューサーも)あの「ヤングアダルト」チーム再結成です!

ああ、シャリーズセロン。今や世界で一番強いオンナとの呼び声も高い彼女ですが今作の役作りのため18キロも増量!40歳で3人目を出産し、育児に追われ疲れきった母親のマーロをすばらしい説得力で演じました。学校から呼び出しをくらい限界を迎えてキレる姿、母乳が染みたジョギング服で倒れこむ様子、ぶるるんとたるんだお尻やお腹!生きた女性が壮絶な日々をなんとか前へ進もうとしている姿をしっかりと感じることができます。

そんな彼女の元へとやってきたのは"ナイトナニー"、夜に赤ちゃんの面倒を見てくれるアルバイトをしているタリーでした。イッパイイッパイのマーロをとても不思議な包容力で助けてくれるタリーを演じたのはマッケンジー・デイビス。最近では「ブレードランナー2049」に娼婦マリエット役で出演していた、スラっとしたカナダ人のカワイコちゃんです。(Wikipediaによると、シャリーズ・セロンは177cm、マッケンジー・デイビスは178cm...)

若さと美しさだけでなく、好奇心や知識、人生に対しての気力…なんとも言えない輝きに満ちたタリーに最初こそはぐぬぬ…と引け目を感じてるようなマーロでしたがタリーの仕事っぷりに心身共に助けられます。ナイトナニーを雇い始めてからの彼女は元気を取り戻しつつも、それでもどこかで、「タリーは、いいわよね。なんでもできるわよね。」という羨望の思いを持ち続けていました。

その思いこそが、この物語においての、大いなる希望だなと私は思いました!

しかしマッケンジー・デイビスの凄まじいキュートさよ!何にもとらわれない自由奔放な振る舞いや、薄いブルーグリーンの目でこちらをじっとみつめてくるしぐさが最近ではあまり見ない、やや久しぶりな可愛い女性像という感じでたまらなかったです。登場時のボルドーのノースリーブでヘソ出しはもちろん、デニムのオーバーオールにちびT(やはりお腹が見える)、白の丸えりTシャツに黒いキャミワンピ重ね着and腰に赤いチェックのシャツ…衣装もすべてとっても可愛かったです。

控えめに言う必要もないくらいに最高に魅力的なタリー。一度観たら忘れられないほどに、素敵でした。

ところで育児に追われて大変だったその時、マーロの夫は何してたかって?ヘッドホンつけてゾンビ倒してました。けれども、マーロがとても愛情深く、彼のことをタリーに話すシーンはすごく好きでした。

2018年8月31日金曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」10月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」10月号(8/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第三回は「500ページの夢の束」主演のダコタ・ファニングです。

ダコタちゃん、もしかしてアイ・アム・サム以来に見たかもしれません。ファニング姉妹はとにかく髪の毛がとっても綺麗ですね。白に近いブロンド、薄いブルーの瞳、キュっと一文字に結んだ口、めちゃキュートでした。

彼女が演じるのは自閉症を抱える少女のウェンディ。事情により、唯一の家族のお姉さんとも離れた施設で暮らしています。アルバイト先はシナボン、接客の工夫も凝らしてがんばっています。そんな彼女はスタートレックの大ファンで脚本コンテストに向けてせっせと大作を書き上げていました。

大好きなものがあって、作りたいという衝動があり、そしてその気持ちそのものに自分自身が大きく支えられていることを描いたロードムービーです。彼女の勇気の源を知ることのできるシーンに思わず拍手!そして同士との出会いと繋がりのあたたかさも感じられました。

2018年7月30日月曜日

ワンダー 君は太陽 (Wonder)


(クリックで大きくなります)


(監督:スティーブン・チョボスキー キャスト:ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソンなど)

原作小説の著者であるスティーブン・チョボスキー自ら初監督を務めた「ウォールフラワー」から5年。(心に染みる青春映画…) 今回は世界的ベストセラー"Wonder" の映画化という企画。私はこの原作小説は読んでいないのですが、爽やかなライトブルーに題名のハンドレタリングが書かれた余白の多い子どもの顔、というデザインがとても印象的です。いつ見ても平積みになっていることが多く、人気なんだなあと思っていました。

主人公のオギーは遺伝的な疾患(トリーチャーコリンズ症候群)により産まれてすぐに27回手術を繰り返してきました。彼の顔にはその特徴が見られます。学校へ行かず、ずっと家庭学習を続けていたのですがそんな彼が5年生(アメリカでは小学校最後の学年にあたります)からうまれてはじめての学校へ通うことになる…というあらすじです。

オギーのことはもちろんですが、この映画では大好きなオギーを見守る彼の両親や姉、姉の親友、オギーを迎え入れるクラスメイトたち、そのひとりひとりの心の内をとても丁寧に描きます。視点の変わる瞬間は必然的なのにうっとりするほど軽やかでとてもスマート! そのあまりの手さばきに思わずホゲエエとなるのですが、それが劇中ずっと続くよー!もうほんとう見入ってしまいます。

オギーのカラっとした振る舞いや、皮肉をたっぷりと含んだ発言、(ずっと勉強を教えてくれたお母さんに「もっと良い先生に教わりたいしね」と学校へ行く意欲を表現して笑いを誘ったりする!)とっても聡明な様子に私たち観客はすぐに彼の輝きに気づきます。彼の特徴的な見た目は確かに彼や彼の家族に影響を与えてはいるのですがそれは彼という人間のひとつの要素です。それ以上に彼には憧れがあり、両親から教わった勇気や想像力、そして強さがありました。この映画で語られる物語はオギーの輝きに照らされた世界でのできごとなのでした。

オギー役のジェイコブ・トレンブレイの「ルーム」に引き続く天才っぷりはいわずもがな、彼の両親役のジュリア・ロバーツとオーウェン・ウィルソンの素晴らしい夫婦像が結婚ってエエナ〜!と心から思わせてくれるほど。特にオーウェン・ウィルソンが、世界で一番素晴らしいオーウェン・ウィルソンになっているのでこのキャスティングだけでも私の拍手が鳴り止みません。オギーのお友達となるジャックのキュートさ、オギーの姉の親友のミランダの呆れるほどの美しさもなんだかもうすごい…

好きなシーンについて挙げて行くとキリがないのですが、私がこの映画を観ていてすごくいいなと思ったのはこの映画がもつ「学校」という場所の存在感です。私はアメリカンスクールに通っていたので、なんとなくあの「新学期初日」の空気が、懐かしかったです。それはとても重苦しく、周りのみんなはスラスラと発言したり自信たっぷりに振舞っているのに自分は不安いっぱいでうまく息ができない感じです。

それでも学校は機会があれば、新しい事に挑戦し、知らなかったことを知り、友達と出会い、人間関係で嫌な思いをし、自分がどんな人間でありたいかを学ぶことのできる場所です。授業で学んでいることがその時オギーのまわりで起きていることにリンクしていたり、オギーの姉のヴィアが演劇クラブに入り、今までやったことのない事で自分を表現することを知っていく様子もすごく素敵でした。オギーもヴィアも、きちんと「学校」という場所を通して叶えたいことを叶えていく、というとても当たり前で難しいことをしている姿がとってもよかったです。

また、美術がとってもカワイイ!オギーとヴィアの部屋とかかわいすぎる。オギーの手術の度におそらくつけていただろうリストバンドが可愛く飾られたりもしていて、とても手が込んでいる。お父さんの使っている#1DADのマグカップ、サイコーだよ〜!!