2019年1月21日月曜日

アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング ( I Feel Pretty)


みんな大好きアメリカン・コメディエンヌの最終兵器、エイミー・シューマーの主演最新作です。前作の「エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方(Trainwreck)」で見せた彼女の心の内までもが伝わってくるような素晴らしいダンスシーンが記憶に新しいですが、今回もありますよ! 彼女の全身全霊の踊りを、ぜひ楽しみにしていてください。揺れる腹の肉も自信たっぷりに輝きます。本当に良いシーンです。
自分の容姿に自信が無く、塞ぎこみがちだったレネーがある日、文字通り頭を打ってから自分がハチャメチャな美人に見えるようになっちゃって…?(けれどそう見えるのはレネー本人だけ!)という、アメリカのガールズムービーが大好きな私たちにとって大好物な展開。マージ美しい私モードのレネーと、何も変わっちゃないレネーと話す人々の会話の噛み合いっぷりが面白いです。そうです、なんと噛み合ってしまうんです。
自信をもって明るく楽しくどんな人とも接することが出来るようになったレネーは、本来持っている気持ちを大胆に表現することで憧れの仕事も素敵な恋人も手に入れます。このボーイフレンドがまた非常にナイスガイで、レネーと二人で関係を育てていく様子にはレネー本当によかったね…とじんわり涙。

手に入れるものもあれば、人間なのでもちろん調子にのって大失敗も。そして何よりも、レネーは頭がおかしくなって、鏡に映る自分を美人だと思いこんでるのです。そんなレネーに本当に必要な成長の機会はどのように訪れるでしょうか?
What if you could change everything without changing anything? / もし何も変えることなく全てを変えれるとしたらどうする? 
と、公式のトレイラーにあった通り、何も今までと変わっていないのに人生の全てが変わる、そんな魔法みたいな現象の鍵があるとすればやはり鍵は「自分」にあります。自分が自分に対してする「私はこういう人間だ」という認識によって起こす行動や振る舞いに世界がそのように応じてくれる、という非常にスピリチュアルなテーマをエイミーシューマーは最高に楽しく駆け抜けていきます。

全世界を恨むような顔、人生に愛されて幸せいっぱいの顔、決意が全身を覆うような顔…エイミーシューマーは今、自分が何モードなのかその顔で余すことなく伝えてくれる演技が本当に素晴らしいです。観ていて本当に楽しい。どんな表情も見応えがありましたがやっぱり人生は自分だけのものモードで不敵に微笑む彼女は最高です。早くも次回作が待ち遠しくなるようなエイミーっぷりでした。
とあるシーンでアリシア・キーズのGirl On Fireが流れるのですが、まさに〜!の気分でなかなか最高でした。オチも良いです。余談ですがみんなにとってもI feel prettyになれる音楽ってあると思うのですが、私はまさにハロプロがそうです。聴いてるだけであの日憧れていた素敵な女の子になっているような気がします、それって本当この映画の通り人生を変えてくれるようなことなので私はつんくさんが本当に大好きですYO

2018年12月30日日曜日

2018年 映画まとめ




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2018年に観た映画は86本でした。ほとんどが新作、ほとんどが映画館での鑑賞でした。去年が54本だったのでだいぶ増えましたね!ウレピー

順不同ですが今年のお気に入り10本と、ベスト!というのを選んでみました。誰にも頼まれてないのに、勝手に悩みまくる恒例の作業ですね。ベストはクリント・イーストウッド監督作品の「15:17、パリ行き」です。気になったのでフイにrottoentomatoesで確認してみたところ、めーっちゃ点数低いですね!びっくり。でも私にとっては今年のベストだもんね、激しく感動しました。

忘れられないセリフというのも、「15:17、パリ行き」のクライマックスシーンから選びました。こういった予定や出来事の中で、生きているんだなと思いました。ワタシ号泣、号泣でした。

毎年、どんどん映画を好きになっていきます。来年もたくさん観れますように。

2018年12月29日土曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」2月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」2月号(12/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第7回は「アリー/スター誕生」主演のレディー・ガガです。ガガ様です。

私はオリジナルの「スター誕生」は観ておらず…というよりも、今回の「アリー」公開にあたって『オリジナルがある』ということすら知らなかったです。そんな無知な私でも「どこかで聞いたことある話しだな」という感想を抱いてしまうほどに、何度も形を変えながらも語られる、人間関係において普遍的な物語でした。二人がどのように出会い、どのような関係になっていくかが全てわかってしまっているほどでした。けれども私はスクリーンに釘付けでした。

世界のトップスターであるガガ様の「こんなステージでアタシ…歌えないヨ!」と動揺する表情をアップでまじまじと見守れるのですがどう見ても、本当にしか見えない。アタシ、歌うの?歌わないの?歌うの?やっちゃう?無理だよ!歌う!?と気持ちが激しく揺れ動くその振動まで感じれるほどの臨場感でした。

今作で初監督というブラッドリークーパー、企画を師匠であるクリントイーストウッドから引き継いだとのことです。主演はガガ様がいい、と決めたのもブラッドリーらしいです。すごい先見ですよね。そして数年かけてギターと歌の練習も重ねたのだとか…こういうハリウッドスター達のコツコツと努力を重ねたエピソードは毎回聞くたびに尊敬の気持ちが膨れ上がってどうにかなっちゃいそうな気分になります。

そんなブラッドリー、本当に素晴らしい演技で終始見入ってしまいました。大人で、人気者で、いろんなことを経験していて、めちゃくちゃに色っぽく、激しく脆くてとても傷ついている、すごく優しい人…という佇まいが溢れ出てきていました。そして彼が表現する「落ちぶれ」という状態には映画だということを忘れ、ショックをうけるほどでした。彼の周りに集まる人との対話のシーンもどれも印象的で、兄との関係や、彼の家族に対する思いを感じれる時、非常に切ないです。

知っている物語だけど、こんな気持ちになるなんて知らなかった。というような気分です。ラストのアリーの歌う姿を観ながら、日本で歴史に残るような特大ヒットしたラブストーリーといえば、「タイタニック」ですが、タイタニックような、大勢の人の心に届く映画になるんじゃないだろうかと考えていました。しかし今年はボヘミアンラプソディ人気がまだまだすごいですね。映画館が賑わうのは、大好きなタイプの祭りです。

2018年12月13日木曜日

パッドマン 5億人の女性を救った男 (Pad Man)

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試写会にて「パッドマン 5億人の女性を救った男」を拝見しました。

現代のインドにおいて生理用品の普及率は、この物語の始まりの時点ではナント12%(!)ととても低く、本作の主人公ラクシュミの妻も例外ではありませんでした。結婚したての愛する妻はギョっとしてしまうほど使い古した布でなんとかやり過ごしながら生理期間中を耐えているような状況でした。理由としては市販で売られている生理用品はあまりにも高価であったからです。

自身の家族を幼い時になくし、学校にも行かなかったラクシュミにとって、結婚をして初めて女性がこのような方法を選んでいることを知り、それにについてとても真っ当に「おかしい」と思ったのです。しかし、女性の身体のメカニズムである生理について少なくともラクシュミが住んでいる地域ではそれについて話題にすることも非常にタブー視されており、薬局でもまるで生理用品は闇市で売買している商品かよ!とツッコミをいれたくなるほどの扱いでした。

ラクシュミは、「知らない」という武器を非常に素直に使います。どう考えても、それが世の常だったとしても、僕はおかしいと思う!という疑問を行動力へと変えていきます。そして、ラクシュミはあることについても、とってもよく「知って」います。「知らない」と「知ってる」ことをただひたすら一途に追いかけ、運命が彼を待つ未来へと彼はいろんな縁をつなげていくのです。

ラクシュミ、すっばらしいのですが、彼はあまりに一途であまりにひたむきです。オイオイオ〜イ!気持ちはわかるがそれはアカンて!ということにも嬉々として取り組みます。シュンとする彼の表情を見てるととても心が痛むと同時に「ホレみたことか…」とも思ってしまいます。そんな彼のドタバタを救うのは知識、インターネット、そして女神!(女神役のソーナム・カプール、本当に美しい)

そして何よりもラクシュミが英語でスピーチをするシーンがあるのですが、これが本当に素晴らしかったです。言葉は、やはり学者や研究者でないかぎり、学んだ上で絶対に自分の方法でいいので「使う」ものです。そのことについて本当によくわかっているラクシュミ。彼の飾らない人柄と聡明さがとてもよく伝わってきました。

余談ですが、縁あって今年から英語を教える仕事を始めました。それを通してたくさんの頑張っている生徒たちに出会いました。そこから触発され、私自身も韓国語をなんとかわかるようになりたくて、勉強している身でもあります。こういった事からこのシーンには大きな勇気をもらいました。新しい言語をがんばって勉強している全ての人に見てもらいたいです。

ラクシュミには実在のモデルがいて、その方のTEDでのスピーチも実際に見ることができます!映画同様、とてもチャーミングな方でした。

2018年11月30日金曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」1月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」1月号(11/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第6回は「メアリーの総て」主演のエル・ファニングです。第3回のダコタちゃんに続き、妹の彼女が登場ですね。

エル・ファニング、今めちゃくちゃ勢いありますよね。記事内で井口さんも書かれていましたが、ある時のキルスティン・ダンストを彷彿とさせます。透き通るのかな?というほどに白い肌に、光があたると輝くホワイトブロンド。ブルーグリーンの宝石のような瞳。あまりにも可愛くて、その要素が危ないほどです…。つまり尖っている。彼女の表情は本当に多様で、あどけない少女っぽさ、見るものすべての心を奪うガーリーさ、そしてはっきりとした立ち位置を示すその強い女性らしさ、すべてがエル・ファニングらしさを作りあげます。あーん!どこまで魅力的なの!

ニコラス・ウィンディング・レフン監督の「ネオン・デーモン」に出ていた彼女の役に対する説得力ったらもう。だんだんと自分の輝きを自覚していく過程も素晴らしかったです。

「メアリーの総て」では、あの有名なフランケンシュタインを生み出したメアリー・シェリーを演じます。『あの』フランケンシュタインを生み出したのはたった18歳の少女でした。彼女の生い立ちから初恋に落ちるその瞬間、そしてその相手との関係、フランケンシュタインというキャラクターを作りだすその様子をじっくりと見ていくことができます。

とにかく美術や衣装がメチャキュート!ややゴシックテイストですごく上品。いろんな衣装を身にまとうエルがとにかく全部似合いすぎてそれを見ているだけでもとても楽しめます。特に寝巻きがかわいすぎです。部屋のインテリアや小道具もとても素敵で、オッシャレーで、身を乗り出してスクリーンを凝視してしまうほどでした。

また、主人公のメアリーに大きな影響を与える出来事として、彼女の母親がメアリーを出産する際に亡くなってしまっていることがあります。メアリーにとって、「死」は学ぶものでした。母親のお墓から最初に文字の読み方を学んだと話すエピソードから、よりそういう印象を感じました。メアリーの孤独と苦悩、そこから創造する瞬間をとても細やかに描いています。

メアリーと駆け落ちしていまうクズ旦那の感情の揺れ動きもとても面白いです。ところで彼を演じる ダグラス・ブース、高畑裕太さんに似ていると思ったのは私だけでしょうか?


2018年10月24日水曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」12月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」12月号(10/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第5回は「マイ・プレシャス・リスト」主演のベル・パウリーです。

世の中に対して文句だらけのハーバード卒のキャリー。飛び級で大学入学、卒業をしたとっても賢い彼女ですが非常にイライラしながらニューヨークで一人暮らしをしていました。唯一の話し相手は彼女の父親の友人であるというセラピスト。彼の提案で、「やってみたいこと」をリスト化しそれらを実行することに。リスト内にはチェリーソーダを飲むという簡単なものから、デートへ行くというものまで。ブツクサブツクサ言いながらも他にすることも無いであろうキャリーはそのリストに沿って行動してみた結果には…?という、この時代を生きる女子ならわりと「私もやったことある」と思うような設定なのではないでしょうか。

そんな中、やはり個性的なキャリーの振る舞いや言動が輝きます。とにかくデートに行かなくては、と言って彼女が手を伸ばすのはマッチングアプリではなくなんと新聞の広告。リストを実行した証拠として写真をとるのですがインスタにアップするかでなく、ポラロイドカメラ。その他にもバーでIDは?と聞かれ(彼女はまだ未成年)IQなら185なんですけど?そもそもアルコールは〜と、とうとうとまくしたてる様子は本当に…チャーミング!オバQのような唇と、眉間に皺を寄せて奮闘する彼女の姿は、本当に面白く、愛らしいです。

彼女が愛していたのは本です。彼女は言葉をとても大切にし、それゆえに言葉に傷つき、言葉に惑わされます。そして彼女を救うのも、言葉でした。非常に映画的なときめき演出に、私も思わずキャー!と声を出してしまいました。

秋が深まり、冬が訪れた頃のニューヨークの表情もとても素敵です。

2018年9月30日日曜日

「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」11月号


お知らせです。

京阪神エルマガジン社「SAVVY」11月号(9/23/2018発売)カルチャページの映画コーナーの「THIS YEAR’S GIRL 彼女に夢中!!」のイラストカットを描かせていただきました。第4回は「チューリップ・フィーバー」主演のアリシア・ヴィキャンデルです。

その姿を観ているだけで驚きを隠せないほどの美しさ。全パーツが神の判断により配置されているかのようです。そしてお顔が小さいの、折れてしまいそうなくらい華奢で、それがまた可憐なの。「リリーのすべて」や「コードネームUNCLE」の時とはまた違う、運命的な美しさに思わずため息が出てしまいそうでした。

彼女が演じたのは孤児院で育ち、生活のため裕福な商人と結婚をしたソフィア。ようやく手に入れた豊かな生活なのだけど、夫が雇った無名の画家とフォーリンラブ!その夫を我らがクリストフ・ヴァルツが、そして画家をデイン・デハーンが演じます。

「レオ様の再来」と言われているデイン・デハーン、ちょっともう本当になんと言っていいのかわからないほどの美青年ぷりを画面いっぱいに充満、アリシアとのツーショットなんてこっちがおかしくなりそうなくらいの…景色!

そして説明だけ聞くとクリストフ・ヴァルツがすっかりしょーもないお金だけもってるおっさんかのようにも感じますが、(そして実際なかなかキモイ)それだけではないとても複雑な感情の動きを見事に表現しており、さらに彼の演技が好きになりました。

そしてタイトルのチューリップなのですが、今では信じられないほどに高価だったチューリップが物語のキーとなります。とんでもない時代、とんでもない展開、とんでもない美男美女、そんな映画。