2018年3月15日木曜日

スリー・ビルボード (Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)

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(監督: マーティンマクドナー キャスト:フランシスマクドーマンドなど)

今月行われたアカデミー賞では、
主演女優賞と助演男優賞を受賞しましたね。

アメリカのミゾーリ州にあるエビングという架空の町が舞台。

映画が始まるとまず、濃い霧の中に立つ、
みっつのビルボードが映ります。
ふる〜い、オムツでしょうか、
赤ちゃん用の何かの商品の広告が貼ってあります
色あせ、ビリビリに剥がれて、もうボロボロです。
けれどそんなビルボードたちが、まるで何かの意思があるかのような
お互いになにかを話し合ってるような、
カメラはそんな不思議な写し方をします。
そして入ってくるタイトル。
んぁ〜ああ〜…映画だなぁ〜…と全身で感じることのできるオープニングです。

そこから始まるミルドレッドの戦いの日々。
怒りに燃えまくっています。
その様子を見ていると心がヒリヒリとします。
(ところどころ彼女のしでかすことは笑えます)
戦う相手は町の警察署、名指しをするのは責任者として署長のウィロビー。
そしてウィロビーの隣には、彼を慕う乱暴者のディクソン。

オープニングにうっとりさせられ、
生きているとしっかり信じられるキャラクターたちの
生き様をあらゆる言葉、視線、行動で見せつけられてるうちに
「この人はこんな人間だし、こういう立ち位置、役割だな」とか
「この出来事が起きてからの〜こういうカタルシス〜」など
自分の中にある映画はこういうものだという
決めつけの枠内で見はじめてしまいます。

ですが、人間や人生とは全くそういうことではない。
うんざりするほどに思い通りにいかず、全く思ってみなかった出来事に、
めちゃくちゃに傷つけられるし、もうダメだと思っていたところ救われる。
そして人は変わる、変わらない、変わる。
そういうことを、ものすごいインパクトで思い知らされる映画でした。

サムロックウェルのディクソンという人間の
表現が本当に素晴らしくて私は途中のシーンで
世界をひっくり返されるような思いをさせられました。

あと、ケイレブランドリージョーンズ…!
フワフワしてそうで、かなり強いハートを持った行動は、
見るもの全員に大きな印象を残す演技だったのではないでしょうか!
口が大きく、色素が薄くてそばかすが美しい、
簡単にいうとグッドルッキングガイですね
これから要チェックですわネ

2018年3月12日月曜日

デヴィッド・リンチ アートライフ (David Lynch : The Art Life)

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元町映画館で開催された
「デヴィッド・リンチ アートライフ」の試写会へ行ってきました。

「インタビューでは心を開かない」ことで有名とのことですが、
カメラの前で語る彼はとてもリラックスしていました。
制作してる姿もたくさんみれます。ちょっとイラチな姿にフフっとなります。
あと娘が天使のようにかわいいのですが、
二人で一緒に粘土遊びなどしているデヴィッドほんとーにあどけない。

自身の人生を振り返りながら話す彼を見ながら、
とても正直に話す人なんだな…と思いました
あまりに純粋な言葉たちに、思わず笑ってしまうほど。
「過去がアイディアをいろどる」という言葉から始まり、
彼の人生と作品の鏡合わせの様子を本当にじっくりと知ることができました。
彼の表現は、すごく信頼できる。という気持ちになります
感心するほどにまじめで丁寧な作りのドキュメンタリーでした。
あとカメラが映し出す絵的な語りもとっても美しい!

学生時代のエピソード、イイハナシばっかりでしたね。
なんせデヴィッド本人のあけすけに話す感じがすっごくいい
「イレイザーヘッド」を撮っていたときのことを話しながら
最後に言葉を失うような流れを、目が醒めるような気持ちで見ていました。

パンフレットに書いてあったのですが、
この映画の資金集めにはキックスターターを利用したとのこと。
出資者たちは映画を楽しみにするデヴィッドのファンなので、
映画の撮影がちゃんと進んでいるかのチェックが
非常に厳しかったという苦労話がめちゃくちゃ面白かったことや
監督のインタビュー、高橋ヨシキさんのすばらしい解説など
とても読み応えのある一冊でしたのでオススメです!